五月人形の段飾りは豪華さに圧倒される空間を生み出します

一般的に「段飾り」と言うと、女の子の節句「ひな祭り」の七段飾りの雛人形をご想像なさる方が多いかもしれません。
しかし実は男の子の「端午の節句」に飾る五月人形にも段飾りは存在するのです。
女の子の段飾り同様、飾る部品(お人形、お道具など)が多くなれば、それにはそれぞれ意味があります。男の子の段飾りの「陣笠・陣太鼓・軍扇」は、大将が指揮を執るための道具であり、“出世・人のお役に立つ”という意味が込められています。しかし今では、段飾りの五月人形よりも平台飾り、収納飾り、ケース入り飾りなどの商品の方が種類も多く一般的になります。
現在の住宅事情を考えると、やはり段飾りよりもコンパクトなミニサイズの五月人形の方が需要が高いというのが現状です。
ただ、やはり大切なお子さま、お孫さまの初節句には出来るだけ豪華で見栄えのよい五月人形をと考える方もいらっしゃいます。
確かに段飾りの五月人形は通常のものよりスペースが必要になりますが、特別な贈りものとして購入の際の選択肢に入れていただければ幸いです。
段飾りの五月人形と雛人形
3月3日の「ひな祭り」には女の子のために雛人形を飾り、5月5日の「端午の節句」には男の子のために五月人形を飾って、お子さまの健やかな成長と幸せや出世を願います。
伝統的な雛人形は段飾りが多いですが、五月人形にも少ないながら段飾りのものがあります。
五月人形の段飾りのほとんどが鎧を用いた飾りなので、幅も高さも雛人形の七段飾りと変わらない間口(幅)と高さを要します。ですから、男の子の段飾りはものすごく立派なお飾りと言えるでしょう。
ただ奥行きは雛人形の七段飾りの三分の一ほどなので、畳2畳分の面積を使ってしまうことはありませんが、豪華に飾るには畳2畳分の毛氈(もうせん)を敷き飾っていただくと、大変見栄えのよい段飾りになります。
五月人形の毛氈の色が緑なのには「魔除け」の意味があります。
雛人形の赤い毛氈にも魔除けの意味がありますが、どうして雛人形と五月人形で毛氈の色が異なっているか、ご存知でしょうか?
実は、雛人形の毛氈が赤で魔除けになった理由は、太陽の色を赤と表現し赤色のものは、魔除けとなると神様を信仰していた時代(今でも神様を信仰されている方はいらっしゃると思いますが…)に、太陽=赤=魔除けとなったのです。
そこでなぜ太陽が魔除けということになると思いますが、お日様にあてておくと、悪いもの(雑菌)が取れる(無くなる)というのは現在でも同じこと(例えば洗濯物)です。
昔はもっとお日様(お天道様)に対しての思い入れが深かったので、魔除けに繋がったと言われています。
「それなら、男の子の五月人形も同じ赤でいいのでは?」とお考えになると思いますが、こちらの緑は昔の遊び「菖蒲(しょうぶ)打ち」から来ているそうです。
これは植物の菖蒲の葉を地面にたたきつけ、その音の大きさで勝負(「菖蒲」に「勝負」をかけて)する遊びです。
この時、葉を地面に叩き付けるわけですから出るのは音だけではなく、「苦虫をかみつぶした匂い」と表現されるほど強い匂いが生じるようです。
その強い匂いが「魔除け」になるということで、男の子の節句の五月人形には緑の毛せんを使うようになったと言われています。
東玉では端午の節句に欠かせない菖蒲が登場する五月人形もご用意しております。
- 彩宴 兜飾り「5号 金長鍬形萌黄沢瀉」:LED付の屏風と台が一体型のため、飾り付けも収納もスムーズにできます。新緑を感じる萌黄色の威の兜と端午の節句を象徴する菖蒲の花が特徴的なコンパクト飾りです。
商品詳細
- 峻成・彩り 兜飾り「5分の1 紺裾濃」:若手江戸甲冑師「加藤峻成作」。等身大の五分の一の縮尺を参考に製作しました。コンパクトながら高度な技術を要する「手並べ小札」を使用した本格的な兜となっています。飾り台は出窓や玄関にも飾れる奥行きの小さいコンパクトサイズで、兜の横にワンポイントの菖蒲のお花を配することで、和装インテリアの雰囲気を強調しました。形状が複雑に見える丸型の飾り台は組立不要です。
商品詳細
- 端午木目込人形 「皐月童 勇」:菖蒲のリーズ飾りの前で、ガッツポーズを決める可愛く凛々しい男児、皐月童「勇(ゆう)」。幼いけれど勇気凛々の勇君です。ナチュラル色の家具調飾台は、間口・奥行きともに23cmのコンパクトサイズ。飾るほどに愛着が増す五月人形です。
商品詳細
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五月人形「鎧」段飾り、凛とした存在感で空気が変わる!
段飾りの全体の高さは高くなってしまいますが、五月人形では鎧を一番上の段に飾るのが、大変見栄えが良くよろしいかと思われます。
兜でもよろしいのですが二段目三段目に飾るお道具とのバランスを考えると、鎧が段飾りにはおすすめです。
そして何より、鎧のすぐ隣に飾る、弓太刀とのバランスが一番良いのは鎧ですから、五月人形の段飾りは鎧飾りにするのが一番おすすめです。
兜三段飾り 5号 極将
会津塗りの三段飾りの五月人形です。
5号という大きさの小さい兜ですが屏風の波の蒔絵が力強さを演出しています。
屏風の波は永遠に続くという意味があり、家の繁栄を表します。
端午の節句の五月人形には欠かせない、菖蒲酒の徳利、粽(ちまき)、柏餅のお供えものがセットされている意味のある段飾りの五月人形です。
- サイズ:幅44×奥行30×高さ36cm
- 東玉標準価格:143,000円(税込)
「5号 極将(ごくしょう)」はこちらよりお求めいただけます。
段飾りの五月人形の飾り方
では、段飾りの五月人形の飾り方をご説明します。
まずはじめに段を組み立てます。
段が木製の段飾りの場合
現在では木製の三段は少ないのですが、木製であれば床(畳)面と垂直になる板(側板)2枚を横棒でつなぎ、一番下に立っている板(幕板)を置き、その上に一番下用の板をのせ、三段目二段目の間用の幕板を置き、二段目用の板をのせ、二段目、一段目の間用の幕板を置き、一番上用の板(一番広い板)をのせて飾り段は完成です。
段がスチール製の段飾りの場合
他に毛せんを使用する飾り段のほとんどが、スチールで出来たスチール段です。
スチール段の場合は、床(畳)面と垂直になる部品で三段の軸になる部品が二つありますので、それをつなぎ用のスチール板でつなぎ、三段の段が出来ます。
そうしたら、その階段状の軸にスチール板をそれぞれ載せていき、三段の形になったらその上に緑色の毛せんをかけます。
これでスチールの飾り段は完成です。
弓太刀はしっかりと固定しましょう
上から飾ることを、人形協会の説明では行っているので、上から飾っていきます。
屏風をかざり、鎧をかざり、その向かって右側に太刀を太刀台につけて飾ります。
その際、たいていの太刀には太刀台と太刀とを結んで固定する為の紐が付いていますので、必ず結んで下さい。
簡単に取れるようにしておくと大抵のお家でそうなのですが、特に男の人(ご主人が、おじい様)が太刀を抜きます。
お子様がだからといってわからないと抜いて見せる方が多いのですが、赤ん坊は案外記憶しています。太刀が抜けるものと記憶していると、そのお子様がある程度大きくなったときに、刀を抜いて遊びはじめます。
そのときにお子様のめがける相手はたいてい優しくしてくれる奥様です。品物によっては先端がとがっている刀もありますので、お子様が赤ん坊だからといって油断して大人が刀を抜いて遊ばないようにしましょう。
向って鎧の左側には弓を飾ります。大抵の弓は固定されていますので弓で矢を放つことは出来ませんが、それがしたいために分解などしないようにしましょう。
特に弓の部分は木製がほとんどで、竹で出来てはいないのでしなりませんから、矢を放つことは出来ません。
その他に飾るもの
現弓太刀の横に関東の飾り方だと「旗」、関西の飾り方だと「提灯」を鎧の両脇に飾ります。そこまで飾って一番上の段に飾る余地があれば、両脇の前に「かがり火」を飾りましょう。
上から次の下の段には、向かって右側に「陣笠」、真ん中に「陣太鼓」、左側に「軍扇」を飾ります。
そして、一番下の段には、向かって右から両立て幟の「鯉のぼり」、その左隣に「ちまき」、その左隣(真ん中の位置)に「八足台」に載せた菖蒲を、その左に「柏餅」、一番左側に両立て幟の「吹き返し」を飾りましょう。
これで三段飾りは飾れました。
現在一般的に多く販売されている鎧飾りは、鎧の左右に弓太刀、その後ろに屏風を立て、それが飾り台にのっている飾り方です。
それと比べると段飾りの鎧は、物凄く豪華なお飾りになります。
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段飾りの五月人形のしまい方
段飾りに固執したしまい方などは存在しませんが、しまうのは天気の良い日がおすすめめです。
雨の日は湿気も一緒にしまいこんでしまうので晴れた日に、そしてお子様がいらっしゃるのであまり窓を開けたがらないご家庭もあるかとは思いますが、窓を開け換気をした上で収納することをおすすめします。
段飾りの五月人形をしまう際には、下の段のお飾りから上の段の鎧兜に向かって順番に片付けていくといいでしょう。
その時には飾るときと同様、手袋を着用してください。お飾りを全ておろしたら毛せんも取り、段の板を外します。
五月人形を飾っている日数はその方によって違いますが、長い方では一ヶ月間くらい飾られています。
お子様がいらっしゃるので、毎日お部屋の掃除をされていると思いますが、それと同時に毎日、五月人形もお掃除されていただければ幸いなのですが、しまう頃にはほこりをかぶってしまっていると思いますので、ほこりは必ず払ってから収納しましょう。
雛人形の場合、お顔の部分に直接毛ばたきがあたらないようにおすすめしていますが、男の子の鎧や兜などの五月人形でしたら、毛ばたきでバシバシほこりを払って下さい。
ただ、子供大将飾りのようなお顔のある五月人形は、お顔の部分に直接はたきが当たらないようにご注意下さい。
収納する場所ですが、雛人形と同様に五月人形も湿気を大変嫌いますので、低いところよりも高いところのほうが、湿気が少ないので高いところにしまいましょう。
ただ、収納場所が一年に一回か二回しか開けないようなところでしたら、除湿されることをおすすめします。
後は、お子様がいらっしゃるので毎日お部屋のお掃除をされていると思いますが、その掃除の際に(たとえば押入れ納戸など)五月人形を収納している場所の扉(引き戸)を掃除している間だけでもかまわないので、開け放っておくことにより湿気は溜まらなくなります。(雨の日で風のある日は逆効果ですので、雨が降っていない日にお願いします。)
男の子の節句飾り「五月人形」には大きく分けて、鎧飾り、兜飾り、子供大将飾り、木目込飾り(東玉では「五月童」という商品があります)などがあります。そのなかの鎧飾りを段飾りで飾れば、それはそれは物凄く立派な節句飾りとなるでしょう!
しかもその鎧を、京の有名作家「粟田口師」や「一水師」などの鎧でお飾りすれば、物凄く高価な段飾りとなります。
価格は段飾り以外の五月人形と比べれば高価になりますが、段飾りですと豪華な五月人形になりますので、ぜひ段飾りもご検討ください。