知事室に五月人形を飾りました 〜人形のまち岩槻の想いを込めて〜

埼玉県の子どもたちの健やかな成長を願い、岩槻人形協同組合は知事室に五月人形を飾らせていただきました。

飾られたのは、勇壮な甲冑飾りと、精緻な技で作られた江戸木目込人形。
どちらも岩槻で受け継がれてきた伝統工芸の粋を集めた逸品です。

雄々しさを象徴する「鎧飾り」

端午の節句の代表的な飾りである「鎧（よろい）飾り」は、武将が身に着ける防具を模したものです。
甲冑の飾りには、男の子に「強く、たくましく育ってほしい」という願いが込められています。

岩槻で作られる鎧飾りは、ただの模型ではなく、本物の甲冑に近い構造と意匠が施されています。金属や革の素材感を繊細に再現し、飾ったときの存在感は圧巻。
熟練の職人が一つひとつ手作業で仕上げており、細部にわたる装飾の美しさや、金具の打ち出し、糸の組み上げまで妥協のない作りが魅力です。

また、兜単体の「兜飾り」よりも大きく、迫力ある姿は、家族の思い出としても長く残る節句飾りとなります。

優美で凛とした「木目込人形」

「江戸木目込人形」は、岩槻を代表する伝統工芸品のひとつ。
木の胴体に彫られた溝（木目）に、布地をひとつずつ丁寧に“はめ込む（木目込む）”技法で作られます。

この技法は、18世紀の京都で誕生した「賀茂人形」がルーツとされ、江戸時代に発展しました。
布の模様や色の組み合わせ、手のひらサイズながらも存在感のある造形美、そして仕上げに塗られる優しい顔立ち――そのすべてが調和して、気品とあたたかみを感じさせる人形に仕上がります。

五月人形としての木目込人形は、兜や鯉のぼりを手にした「若武者」や「金太郎」「桃太郎」などが定番。
男の子の成長を祝うにふさわしい、愛らしくも勇ましい姿で、近年ではコンパクトで飾りやすい節句人形としても人気です。

端午の節句とは？

端午の節句（5月5日）は、男の子の健やかな成長と立身出世を願う日本の伝統行事です。
古くは中国の「菖蒲（しょうぶ）で邪気を払う」という風習に由来し、日本では平安時代ごろから貴族の間で広まりました。

江戸時代になると武家社会の影響を受け、家の中に甲冑や武者人形を飾るようになりました。
これが現在の五月人形のルーツです。
「菖蒲（しょうぶ）」が「尚武（しょうぶ＝武を尊ぶ）」に通じることから、男の子の節句として定着しました。

人形のまち岩槻の誇り

さいたま市岩槻区は、江戸時代から続く人形づくりの産地として全国に知られています。

今回の飾り付けを通じて、少しでも多くの方に岩槻の人形文化の素晴らしさを感じていただければ幸いです。
これからも地域の誇りである伝統を未来へつなぐべく、日々の制作に励んでまいります。
岩槻人形協同組合

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