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90歳の市松人形 ~大切なお人形の修理について~

2018年4月28日

スタッフブログ

ご無沙汰の更新となりました。今日は修理でお預かりしたお人形について、嬉しいことがあったので書きたいと思います。

先日、息子さんを通じて90歳のお母様から男の子の市松人形の腕を修理・修復してほしいとお預かりしました。 (聞けば息子さんが前回ご来店された際、当時は副社長だった現社長の人柄に触れて、またご来店くださったとのこと。従業員としては誇らしいかぎりです。)    話を戻しますと、 お持ちになった市松人形は、一目見て腕のある人形師さんの作であることはあきらかで、90年近く経ったとは信じられないほどお肌の状態もよく、お着物も持ち主であるお母様が縫われたとのことで、とても素敵なお人形でした。 なにより持ち主に大切にされていることが伝わりました。 可愛がられている空気を纏ったお人形でした。   お客様の大切なお人形をお預かりするということ。 少なからずいつも緊張します。   数週間後、人形師さんの工房から戻ってきた市松人形は、腕が治っていて、髪の毛の乱れもまつ毛も整えられて帰ってきました。心なしかお顔が晴れやかになったような、そんなふうに感じたのは気のせいではないと思います。 そして息子さんが市松人形を引き取りに来られた時、持ち主のお母様からのお気持ちで、お手製のティッシュケースをいただき、女性スタッフたちで好きな柄を選ばせて頂いていたのも束の間… 数日後、お母様からお手紙を頂戴しました。 「腕のケガが綺麗に治って嬉しい」と。 「思はず抱きしめました」と。   このお手紙を読ませていただいた後、ホッとして嬉しくて私がお手紙を抱きしめたい気分でした。 また「関係してくださった皆様によろしくお伝えください」と、ありがたいお言葉も。   お客様とお人形の間に流れてきた時間が、お人形には表れます。 それを損なうことなく、綺麗な状態に近づける。   単なる交換や買い替えでは済まされないものを手直しできるのは、人形の町として歴史を重ねた岩槻の職人さんのなせる技です。   お店はただの人形店という容れ物ですが、そこにお客様が来てくださって、私たちがお客様の要望を人形師さんへ伝え、ご要望に沿うかたちでお人形が戻ってきて、お客様に喜んでいただける。   そんな役割を与えられているお店は、とても幸せな空間だと感じました。   もちろん、ご希望に添えない場合もあったり、修理そのものが難しかったり、お預かりしたお人形の修理はいつも手探りです。 それでもいつも人形の町にあるお店として、お人形のことならなんでもご相談くださいという姿勢でお待ちしたい、改めてそんな気持ちになれた出来事でした。   お買い物やそれにまつわるやり取りさえもインターネットが当たり前の時代ですが、店舗があることの利点を生かして、お客様との一期一会の温度を大切に営業しております。 これを読んでくださった皆様も、機会があれば、ぜひ当店をご活用ください。

 

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