享保雛(きょうほびな)とはどのような雛人形なのか?
江戸時代、八代将軍徳川吉宗公の時代の【享保年間】に京都で生まれて各地に広まっていったお雛様が「享保雛(きょうほびな)」です。
享保時代は贅沢で豪華絢爛な時代だったため、京都で作られ始めた時は「寛永雛」や「元禄雛」を基にして豪華で高級なものを作っていました。
また、大きさもはじめは寛永雛と同じようなサイズの20cm以下だった大きさが、各地に広まると同時に次第に大きくなっていき60cmくらいあるものまで作られるようになりました。
その後景気が悪くなり、緊縮財政を強いられた八代将軍徳川吉宗により、贅沢禁止令が発令され雛人形にも寸法の制限が設けられ、小さな品が多く作られるようになっていきました。その後時代が変わっても享保雛の形は残り、作り続けられました。
お雛様は時代や場所によって、それぞれの作り方や呼ばれ方で今日まで日本の伝統として伝わってきました。顔や形を変えても意味合いは変わらず、今も昔も子供の幸せを願う愛のカタチとしての、日本の伝統文化です。
享保雛の歴史
おひな様の原型といわれているものは、「立雛(たちびな)」といい和紙で出来ていました。頭部以外は平たく自立することはできなかったため 屛風などに立て掛けて飾られていたようです。その後江戸時代になり、現在の座った形のおひな様が作られるようになったということです。
最初に作られた様式が「寛永雛(かんえいびな)」で装束をつけた小さな人形でした。次に古いのが「元禄雛(げんろくびな)」で、少し大きくなり着物が十二単になりましたが、まだまだ質素なものだったそうです。
その後「寛永雛」の様式を発展させた雛人形が「享保雛」です。「享保雛」は色々な家庭で、幅広く飾られたため、20cm以下から60cmくらいあるものまで、大小豪華なものから質素様々な作例がみられます。
享保雛の特徴
「享保雛」が京都で生まれた時代は、景気の良い豊かな時代だったので、雛人形も豪華で大きい人形が作られました。
その大きさは50cm~60cmで、お顔は能のお面のような面長で、切れ長な目と少し開けた口、細くて白い手など細やかな細工が特徴です。
男雛と女雛の衣裳はともに豪華な金襴等を使用し、男雛は束帯風で両袖を広げた形で太刀を脇に差し、手に笏(しゃく)を持っています。女雛は赤い袴を着て、胴の中には綿を入れて膨らませた五衣(いつつぎぬ)を着せて、唐衣(からころも)姿に天冠を被っています。享保雛は、広い地域で明治時代まで製作されていました。
享保雛が後のお雛様に与えた影響
江戸時代中期頃に京都で生まれ、各地で作られるようになった「享保雛」は、明治時代まで広く作り続けられていました。江戸時代後期には、江戸生まれの「古今雛(こきんびな)」が登場し、目には水晶やガラスを入れ、人間的な面相でリアルになり豪華な衣裳で人気になります。
雛人形の本場である京都にも影響を与えたと言われています。現在の雛人形も、この「古今雛」がルーツとされています。また京都では、宮中や公家などの上流階級の雛人形として、「有職雛(ゆうそくびな)」や「次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)」も生まれました。
現在の雛人形はデザインも雰囲気もモダンなタイプが増えてきました。
デザインは変わっても雛人形の役割は昔も今も変わりません。
モダンなデザインのひな人形を一部をご紹介します。
- 優雅 親王飾り「夢刺繍」
黒を基調とした舞台に白衣裳が映える、エレガントなお雛さまです。
商品詳細
- 優雅 親王飾り「彩左京」
大人が見ても納得の美しさが定評、雛人形作家・田村扶紗彦による優雅シリーズの逸品です。衣装の美しさに合わせたお顔は、熊倉聖祥原作の高級感溢れる人気のお顔です。全体をモダンで高級感ある雰囲気でコーディネートしました。
商品詳細
- 東之華 立雛「黄櫨染立雛」
女流作家東之華による「黄櫨染」の立雛飾り。伝統的な衣裳に柄や古来より縁起が良いとされる五色を重ねに使用しておりますが、仕立てや色使いに東之華の世界が垣間見えます。
商品詳細
- 木目込人形 喜久絵 収納飾り「柑愛A五人」
お人形と燭台・貝桶が飾り台の箱の中にしまえるコンパクト収納五人飾り。全体的にピンクを基調にしたセッティングで間口35?でかざれるかわいらしい雛飾りです。
商品詳細
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まとめ
ひな祭りになくてはならない、雛人形も歴史の時代背景によって流行があったようです。享保雛が作られた時代は、大きな殿姫一対のお雛さまが主流の時代で、昭和の高度成長期のように7段飾り15人飾りなど多人数のお雛さまがもてはやされた時代とは、華やかなお雛さまの概念も大きく違っていたようです。しかしながら享保雛はその後50㎝くらいの高さの人形から、10㎝の小型まで、時代に合わせて多種多様の人形が作られたようです。縦長でふっくらとした独特のフォルムに、面長で古風な愛嬌のあるお顔の享保雛は、大型でも小型でもそのあいらしい姿は、時代を超えて愛され続けています。
当時特別に作られた豪華な享保雛は今でも大切に保管され、現在でも日本全国各地の博物館や旧家の雛人形展やひなめぐりなどのイベントなどで、江戸時代の代表的な雛人形として、多くの人たちがひなまつりの時期に見ることができます。
この享保年間のおひな様にふれてみて、江戸時代の文化を感じてみてはいかがでしょうか?