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ひな人形はなぜひな壇飾りになったの?

2023年10月21日

雛飾り

ひな人形はなぜひな壇飾りになったの?

雛人形は、古くは男雛・女雛の後ろに屏風を立てただけの飾りが主流の時代もありましたが江戸末期ころには官女以下、脇を添える人形が増えていき、豪華なひな壇飾りになっていったといわれます。そのころ一般民衆の家では箪笥の引き出しを裏返しにし、その上に人形を飾るという工夫を凝らしました。限られたスペースでも人形をきれいに飾る工夫は現代の段飾りの様式の基礎を築いたようにもみてとれます。たくさんのお人形やお道具の数々。これらは段に飾り付けることによってきれいに、見やすくしたものです。では次に、個々がもつ意味合いにはどういったものが込められているのかを見てゆきましょう。

七段飾りの雛人形にはそれぞれのひな壇に飾るお人形や御道具ひとつひとつに意味があります。

段ごとに役割と意味合いを少しご紹介します。

上から数えて一段目のお人形は天皇と皇后を表しているとされます。「男雛(おびな)」と「女雛(めびな)」という呼び名が一般的で、この並びは京雛では、男雛を向かって右に女雛を向かって左に飾るのが一般的で、京都以外の地域ではいわゆる関東風の飾り方で、女雛を向かって右に男雛を向かって左に飾ります。見慣れた飾り方でないと間違えているように思われがちですが、この女雛と男雛の並び方は「どちらかが正しい」のではなく「どちらも正しい」のです。

関東風の並び方は昭和天皇がご即位された時に始まったとされ、その状況を鑑み、結婚式場関係者や一部の雛人形業界ではその並び方に合わせようという動きがありましたが、京都の雛人形業者だけはそれには呼応せず「古から伝わる伝統的な並びを大切に護る」という考えで、向かって右側に男雛を飾る「京雛」の飾り方を続けてきました。こうしてお人形の飾り方は、「京都風」と「関東風」の二通りに分かれたまま現在に至っています。この最上段に」飾る、「男雛(おびな)」と「女雛(めびな)」は2人合わせて「お内裏様(おだいりさま)」又は「内裏雛(だいりひな)」と呼びます。「あれ?」と思われる方もいると思いますが、ひな祭りの歌に出てくる「お内裏様とお雛様ふたりならんで~」の歌詞は作詞家さんの勘違い説が有力です。人形業界では有名な話ですが、この歌のおかげでひな祭りの認知度が格段に上がってたこともあり、人形業界ではありがたい歌と認識されています。

続けて上から二段目には三人官女を並べます。三段目には五人囃子、四段目には右大臣・左大臣(随臣)と嫁入り道具の菱餅(菱台)と膳揃い、五段目には仕丁と桜橘、六段目には嫁入り道具揃を並べます。そして七段目には牛車・御駕籠・重箱を並べます。

二段目に飾る三人官女は女雛の身の回りのお世話をする係です。三段目の五人囃子はお祝いの宴を盛り上げる音楽隊です。四段目の右・左大臣は宮中のガードマン。五段目の三人仕丁は清掃を担います。

六段目・七段目には嫁入り道具各種を飾ります。これらは生活をするにあたり必要なものであったり、生活に困らないようにとの願いが込められたものです。
また、七段飾りは宮中や貴族への庶民のあこがれを表現したものでもあるため、京都御所の中にある紫宸殿を模倣しています。実際に見学すると、桜と橘が南向きに左右に植えられているなど共通点がいくつか見つかると思います。

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ひな壇の豪華さや飾り方には、「社会的地位」や「身分」が段ごとに表われています。

雛壇7段 15人飾り

人形たちの担っている役割は先に述べたとおりですが、江戸時代になって一般の家庭でもひな人形をお飾りするようになると、富裕層の階級では競って豪華なひな段を飾ろうと、お金に糸目をつけず高価なお人形やお道具を作らせるようになります。

金襴などの高価な絹織物を使用した雛人形の衣裳や、漆や蒔絵に本金を使用したお道具なども作られました。古くはこうした豪華なひな段をお飾りすることが、社会的地位や身分を表すことと捉えられた時もありました。しかし現在では社会的地位や身分階級ではなく、社会の縮図を表したものと捉えられています。世の中では女雛のお世話をする人や、護衛官などいろいろな人がいて、成り立っているということを表しているということです。

段飾りの難点と魅力

七段飾りを店頭ディスプレイのイメージそのままに、配送されたものをいざ自宅で段を組み立てると改めて大きいものなのだと思われますが、最近ではこのように飾り幅や奥行をとる段飾りからもう少しコンパクトに、でもボリュームを感じられる三段飾りタイプが人気商品となっています。人形は親王と官女までが付き下段にはお駕籠や牛車・重箱が飾られます。華やかさとあわせて収納する際のスペースや価格の面からも、おすすめの一品です。ひな祭りの歌をうたいながらお子様と一緒に飾り付けを楽しむ時間を過ごせることが魅力ではないでしょうか。

東玉の3段飾りを一部ご紹介します。

  • 三段飾り「彩花」:お殿さまとお姫さまには段織りの衣裳を使用し、高級感あるつくりになっております。格子をアクセントとした屏風と段の桜の模様は刺繍仕立てです。三人官女や重箱、牛車、お駕籠まで揃ったにぎやかで豪華な三段飾りです。

商品詳細

三段飾り「彩花」

三段飾り「彩花」

220,000円(税込)

幅75×奥行65×高さ82cm

  • 三段飾り「紫香」:三段飾り・東玉総本店人気No.1セット『紫香』。側板を組み換えることにより一段でも、二段でも、三段でもお飾りいただける、東玉オリジナル「一、二の三段」です。お殿さま、お姫さまには段織りの衣裳を使用し、高級感あるつくりになっております。屏風と段の、桜の模様は駿河蒔絵で描かれております。

商品詳細

三段飾り「紫香」

三段飾り「紫香」

297,000円(税込)

幅80×奥行81×高さ90cm

  • 優雅 三段飾り「京龍村」:『優雅・三段飾り』シリーズ。衣裳や屏風などには、龍村美術織物を使用。落ち着いた緋毛氈と金屏風のコーディネートです。

商品詳細

龍村裂 三段飾り「京龍村」

龍村裂 三段飾り「京龍村」

286,000円(税込)

幅75×奥行61×高さ63cm

ひな段の飾り付けを通じて、年長者や目上の方への接し方を学ばせてあげましょう

七段飾り 五段目の仕丁

わかりやすいところで言いますと四段目の随身(随臣)では、向かって右側のいわゆる「左大臣」の方が年長者で身分が上ということになります。

二段目の三人官女の中央にいる座官はよく見ると、眉がありません。これは平安時代からの習慣で、女性は結婚すると眉を剃り、お歯黒にするということをしてきました。すなわち座官は既婚者であり、年長者であることを想像させます。

五段目の仕丁を見比べると顔の表情だけ見ると左側から「怒り」「泣き」「笑い」の順番ですが、よく見比べると向かって右側の方が年上だとわかると思います。これは左から順にいうと「若い時は気の向くまま怒りという気分を出すのは仕方ないが、ある年頃になれば哀愁を覚え、年を取ったら笑おう」という意味があります。このように七段飾りの人形には、若者から年長者まで様々な世代の人がいます。若者は年長者を敬い、年長者は若者の指導にあたるという光景を表されたものです。

「嫁入り道具」が下段に飾られるのはなぜでしょうか?

嫁入り道具 牛車
嫁入り道具 御駕籠

お殿様・お姫様と三人官女の五人飾りですと三段目、十五人揃いの七段飾りですと最下段の七段目に飾るのがお駕籠・重箱・牛車です。さらに七段飾りであれば、六段目の嫁入り道具、いわゆる生活用品にあたる家の中で必要とされていたものが飾られます。いまでは冷蔵庫や洗濯機などが必需品にあたるかと思われますが、昔は箪笥や長持ち・台子・鏡台・針箱・火鉢・巾着・茶道具などが一般的です。それぞれに意味がありますが、たとえば寒さに凍えず暖をとれる生活を、との意で火鉢の飾りがあったり、身だしなみを整える大切さを鏡台で表現したり。またお針箱が嫁入り道具には欠かせないものでした。現代では多くのものが既製品で購入できますが、昔は生活用品を自分たちの手で縫いものをすることが当たり前だった習慣によるものです。雛人形のお道具は、元々大名家などの嫁入り道具を元に作られており、お子様が成長していく上で必要な食べ物やお道具に困らないようにという、親の願いが込められて嫁入り道具が飾られています。

 

ひな壇飾りから読み取るものとは親の「想い」

段飾りに使用されている緋毛氈(ひもうせん)にも意味があり「魔除け」の目的で使われています。現代でも大抵の方は洗濯物を干す時は必ず外に出して陽に当てられると思います。

これは今でこそ陰干しすると雑菌臭がしてしまうので、陽にあてて干すとにおいが気にならないからという理由が多いようですが、昔はそのにおいこそが悪い物とされ、陽に当てる(太陽に当てる)ことによって悪い物はなくなるという考えから、太陽の色(陽の色)を表す「緋毛氈」を使用することで「魔除け」になると考えられました。

日本の伝統文化・雛祭りには、このように雛人形やお道具にはそれぞれ込められた意味があることが認識いただけたかと思います。現在では数多くの種類がありますが、お子様の無事な成長と幸せを願う親の想いを形にしたものであることはすべて共通しています。そしてまた携わるたくさんの職人たちがひとつひとつに時間をかけ、丁寧に、丹精込めて、手作りしているものでもあります。壇に飾ることで、ひとつずつが凛ときれいに、華やかに彩られてゆきます。お子様と是非ご一緒にお飾りをして、ひとつひとつの意味や由来をお話しながら素敵な思い出の1ページをお作りください。

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